STAINLESS STEELステンレスについて

ステンレスについて

Page Link

ステンレスとは

ステンレス鋼(Stainless Steel)は、「Stain(錆び・腐食)」
「less(より少ない)」「steel(鋼)」という英語の通り、非常に錆びにくい鉄の合金です。
鉄と比べればかなり錆びにくいのですが、全く錆びないというわけではありません。(ある条件下では、あっという間に錆びてしまう金属となります。)

ステンレス写真

なぜステンレスは
錆びにくいのか?

空気に触れると、自己修復も可能なバリアを形成する。
ステンレスは、錆びの原因となる鉄よりも先にクロムが空気中の酸素と結合(=酸化)し、数㎚の非常に薄い不動態被膜(保護被膜)を形成して、全体を包み込みます。
不動態被膜は化学変化しにくく非常に強固なので、鉄が酸素と結合しようとする(=錆びる)のを防いでくれます。不動態被膜は傷が付くなどして破れることがありますが、瞬時に自己修復できるため、鉄が錆びる隙を与えません。
弊社標準材質の「SUS304」というステンレスは、クロム18%+ニッケル8%+鉄で出来ています。(「18-8ステンレス」とも呼ばれていますが、18と8はこの成分のことを指しています。)
ニッケルは不動態被膜をより形成しやすくする働きをします。

錆びづらいステンレスが
錆びてしまった原因

もらい錆び

ステンレスの表面に鉄などの金属が付着したまま放置してしまうと、その金属が錆びることでステンレス自体も錆びてしまう現象です。
もらい錆びはステンレス鋼同士だけで起こるのではなく、ステンレス鋼以外の金属に接触していても起こります。

汚れや水分が付着している

ステンレス鋼の表面に汚れや水分が残っていると、その部分に不動態被膜を形成することができないため、錆びやすい状態となってしまいます。

塩分が付着している

ステンレス鋼は、他の金属に比べ、塩分に対する耐食性は優れていますが、表面に付着したまま放置すると錆びてしまいます。

酸・アルカリなどの薬品が付着している

酸やアルカリの種類によっては、ステンレスとの相性が悪く錆びが発生します。また、薬品の濃度や温度によっても影響が変わってきます。

環境因子による
錆びの原因

  • 海岸地域の潮風や酸性雨
  • 塩分を含んだ水に接触しやすい場所
  • 温泉地や工場地帯などでの各種ガスや有毒成分の影響を受けやすい場所
  • 自動車の排気ガス・建設工事や道路工事等の土砂・ほこり・すす等の影響を受けやすい場所
  • 鉄道沿線・鉄工所・製鉄所近辺での鉄粉を主とする異種金属の付着がしやすい場所

※上記以外でも条件や環境によって、錆びが発生するケースもあります。

ステンレスのメンテナンス

ステンレスの汚れや錆びの状態は、個々のケースによって異なります。
下記の例を参考に、それぞれの状況に応じて、最も適切な手入れ方法を採用してください。

また、手入れの実施にあたっては、あらかじめ目立たない部分を使って、作用の弱い手入れ方法から強い方法へと段階を追って、幾つかの方法を試して洗浄効果を確認してください。

ステンレスのメンテナンス写真
01.指紋痕などによる軽度の汚れ

ほとんどの場合は、中性洗剤か石鹸水で拭き取れます。
これで取れない場合は、有機溶剤(アルコール・ベンジン等)を用います。
有機溶剤を用いる場合は、溶剤の乾かないうちにきれいなウエス等で拭き取るときれいになります。
この他、市販の清掃薬剤も使用できます。
いずれの場合も、使用後の水洗いを入念に行ってください。

02.もらい錆びの初期

もらい錆びの初期やその他の原因による錆びのごく初期のシミ程度の段階であれば、ステンレス表面自体は全く、あるいはごくわずかしか影響を受けていないため、市販の清掃薬剤のうち初期の錆びや汚れに有効な種類を用いることにより、ほとんど元通りの表面に戻すことができます。

03.赤錆び

もらい錆びをそのまま長時間放置すると、ステンレス自身の錆びに進展します。
また、塩分やその他の有機成分による錆びの場合もそのまま放置すると、茶褐色の厚い錆びに変わっていきます。このような状態になる前に手入れすることが必要です。
茶褐色の厚い錆びを除去するには、市販の清掃薬剤のうち、酷い赤錆びや汚れ用が必要となります。
これらの薬剤でも尚、錆びが除去できない場合は、予めサンドペーパーやステンレスブラシなどである程度錆びをこすり落とした後、薬剤を使用すると除去しやすくなります。
この場合は、ステンレスの表面にこすりキズが付くことは避けられません。
清掃後、再度研磨仕上げをやり直すなどの処置が必要になります。

ステンレスの分類

オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)

18%Cr-8%Ni鋼を基本型としたオーステナイト系ステンレス鋼は、酸・アルカリ・その他の塩類等の腐食性溶液に対して非常に優れた耐食性を有している。
また、高温における耐酸化性、耐高温ガス腐食性および高温強度が優れている一方、低温においても優れた強靭性・耐食性を有している。
その他に、加工性・溶接性が良好であるなど、多くのすぐれた特性を有し、広範な用途に使用されている。

二相ステンレス鋼

二相ステンレス鋼は、海水など高濃度のCIイオンの存在する環境において、18%Cr-8%Ni系ステンレス鋼よりも優れた耐孔食性・耐隙間腐食性あるいは耐応力腐食割れ性を有する。
SUS329J4Lは、高温海水における耐孔食・耐隙間腐食性に優れており、また高温塩化物溶液における耐応力腐食割れ性に優れている。
溶接部においても、母材と同等のすぐれた耐食性を有している。

フェライト系ステンレス鋼(SUS430)

オーステナイト系ステンレス鋼に比べて耐食性・高温強度・溶接性および加工性は全般的に劣るが、耐酸化性あるいは耐高温ガス腐食性には優れた特性を有している。
オーステナイト系ステンレス鋼に比べて安価であり、腐食性のあまり過酷でない環境では、比較的仕様圧力の低い加熱炉あるいは空気余熱管等に適している。